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メンデルスゾーンと私〜其の壱
エッセイ / TAKAHIRO AKIBA



 11月12日(土)に津田ホールにて予定されているフェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ基金日本支部主催「霧とメランコリーの刻印〜メンデルスゾーン『スコットランド交響曲』の知られざる姿」の開催を前に、私とメンデルスゾーンの出会いの経緯を改めて辿ってみたいという気持ちに至りました。その試みは、今回のこの意義ある催しに何故私が出演させて頂けることとなったのか、という理由と経緯を明らかにすることにも繋がるでしょう。

  私とメンデルスゾーンの芸術との出会いは、小学5年の頃に遡ります。当時、「美人ピアノ・デュオ姉妹」として日本でも大変な人気を博していたカーティア&マリエール・ラベック(通称「ラベック姉妹」)の熱心なファンであった私は、お小遣いを貯めては、横浜のHMVへと出かけて行って(当時は横浜に住んでいたのです)、彼女たちのリリースするアルバムを買い集めることを愉しみとしていました。その一環として偶然に手にした一枚、『メンデルスゾーン&ブルッフ/2台のピアノのための協奏曲集』に収められていたメンデルスゾーンのホ長調協奏曲を聴いた当時の私は、まさにこの作品の虜となってしまったのです。(それ以前の私には、『ヴェネチアのゴンドラの歌』や『春の歌』、『結婚行進曲』などの作曲家としてのメンデルスゾーンという乏しい認識しかなかったのです)

 この流麗で溌剌とした、若い息吹に溢れ、そして高貴な抑揚に貫かれたホ長調協奏曲は、メンデルスゾーンが14歳という若さで作曲したものですが、既にここには、後のメンデルスゾーンの成熟期の作曲様式や音楽語法の「芽生え」を明確に見てとることができます。この協奏曲から僅か5年と経たぬ間に、今日の“作曲家メンデルスゾーン”の代表的作品として広く愛される『弦楽八重奏曲 変ホ長調』や『“夏の夜の夢”序曲』などを書きあげてしまうのですから、天才的資質とは誠に恐るべきものです。『2台のピアノのための協奏曲』を作曲したメンデルスゾーンと大して年齢の変わらぬ少年であった私は、偉大な先人の巨大かつ高貴な才能に驚嘆と畏敬の念を抱きはじめ、「この協奏曲の楽譜を是非とも目にしたい!」という強い衝動にかられました。ところが、日本国内有数の輸入楽譜を扱う楽譜店や楽器店に問い合わせても、「在庫もなければ、取り扱ったことすらない。」との返答が返ってくるのみで、加えて、当時は今日のようにインターネットに気軽にアクセスできるような環境が整っていなかったということもあって、出版元の情報を入手することも容易ではありませんでした。しかし、ヤマハ・ミュージック横浜店の楽譜係のスタッフの方の親切なご協力を得て、遂に夢にまで見たその楽譜を手にすることができた時の喜びは、今でも忘れることができません。今も私のこの手元にあるその楽譜は、メンデルスゾーンが愛したとされる色、オリーブ色の上品な布生地に金色の文字で作曲者のオリジナル署名が刻印された素晴らしい装丁の大型スコアで、当時の私は常にこの楽譜を誇らしげに持ち歩いていました。

 その後、他のメンデルスゾーン作品を探究してゆくうちに、高校時代にはとうとう日本メンデルスゾーン協会に入会するほどまでの「メンデルスゾーン信奉者」となりました。そして、楽譜のみならず、メンデルスゾーンの生涯や作品研究に関する文献資料の収集にまで興味が及ぶようになってから間もなくしてそのお名前を存じ上げるようになったのが、メンデルスゾーン研究の第一人者として今や国際的な評価を集める、音楽学者の星野宏美先生でした。

[つづく]

♪ F. Mendelssohn Bartholdy: Concerto #1 for Two Pianos & Orchestra in E major (1823)
 


Love Derwinger & Roland Pöntinen, Pianos
Lev Markiz, Cond.
The Nieuw Sinfonietta Amsterdam

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中学生にしてそのような音楽への探求心。メンデルスゾーンの早熟性もさることながら、なかなか成せることではありません。さすがですな!
kanda (2011/11/06 10:25 PM)
昔っから好奇心だけは人並み外れていたようです…それが今となっては、ある種の不思議な「原動力」になっているような気もしますが…
Akiva (2011/11/06 10:45 PM)









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