PROFILE
LATEST ENTRIES
RECENT COMMENTS
ARCHIVES
CATEGORIES
OTHERS
SEARCH

出土品からのメッセージ
エッセイ / TAKAHIRO AKIBA
新年のご挨拶もよそに、気が付けば一ヶ月以上も更新が滞ってしまいました。いつもこのブログを覗いて下さっている数少ない読者の皆さまに深くお詫び申し上げます。

今さら「明けまして〜云々」というご挨拶もなんですので、早速本題から。

今日の昼下がり、ひょんな思いつきで自室の押し入れをかき回していたところ、何冊もの古い五線ノートが出土されました(まさに、「出土」という語が最も相応しいほど、押し入れ内は荒れ果てていたのです!)。妙なノスタルジーとともに、その数冊のノートをパラパラと流し読みしてみると、そこには、中学〜高校時代に書きためた取るに足らない楽想もどきの走り書きやら、ショパンのマズルカもどきの小品、シューベルトやメンデルスゾーンのリートの姿だけを借りてきたような駄作、僅か数小節のフーガの断片など、不完全な作品(というにはあまりにも粗末なもの)が多くを占めていました。しかし、中にはかなりのページ数に渡って書き進められている日本音階による『幻想曲』(これを着想した当時の私は高校生で、作曲家の故・藤城稔先生の日本和声と作曲の講座を受講していたのです)、創作主題による『性格的変奏曲 ヘ短調』、『ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調』のアレグロ楽章、さらには12音技法による『ピアノ・ソナタ』のいくつかの未完の草稿などが含まれていました。もちろん、当時の私は作曲技法や対位法などというものは学んだこともなく、様々な作曲家の作品を全て手さぐりで観察し、見よう見真似で作曲を試みていましたので、今更それらの未熟な試みを掘り起こして世に出すという気持ちも意義も全く見出すことはできませんが、今や作曲という分野からは久しく離れてしまっている現在の私よりも、当時の幼い私の方が遥かにひたむきさに溢れ、純粋な創造的意欲を燃やしていたのではないかと、やや痛々しく考えさせられる瞬間でした。それはまるで、当時の私からメッセージをもらったかのようなひとときでした。

最後に、当時、私が藝大の学部に入学して間もない頃、大学院修士課程からの私の師である渡邊健二先生と初めてお話させて頂く機会に恵まれた際に、先生が「君が入学試験で演奏したラフマニノフのソナタ第2番が強烈に印象に残っているのだが、君のあの演奏スタイルから想像するに、もしや君は作曲もするのではないか?」とお尋ねになったことがあり、私が「独学ではありますが、作曲は細々と試みています」とお答えすると、「是非続けるといい」と静かに微笑んでいらしたことを、今でも覚えています。今となっては、そのご助言からは少し離れたところで音楽活動を続けている私ですが、しかし、そうした当時の経験が、現在の私の音楽的発想や演奏様式に多大な影響を与えていることは疑いもないことですし、またいつの日にか、「再現」に従事する立場から、ふたたび「創造」へと根を伸ばす時が訪れることを夢見つつ、日々精進を続けてゆこうと気持ちを新たに致しました。
| comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
pagetop
<< 2011年宇宙の旅(?) | main | ほりほりオーケストラとともに >>









url: http://igavik.takahiroakiba.com/trackback/27

11
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--